官民連携による避難所運営の質の向上強化事業
― 多様性配慮の避難所運営訓練 ―
当法人では、内閣府「官民連携による避難所運営の質の向上強化事業」の一環として、青森県内4地域において、多様性配慮の視点を取り入れた避難所運営訓練を実施しました。
本事業では、市町村・地域住民・学校・大学・自主防災組織・民間団体が連携し、「誰ひとり取り残さない避難所」を実現するための実践的な訓練とふりかえりを重ねました。
事業のねらい
- 避難所運営を「誰かがやるもの」ではなく、地域全体で支えるものとして捉え直す
- 多様な立場の人に配慮した避難所づくりを、実践を通して具体的に学ぶ
- 将来の担い手育成と、官民連携による避難所運営の質の向上を図る
実施概要(地域別)
青森市
避難所運営マニュアル実証訓練 ― 事前研修から提言までを一体的に実施 ―
【STEP1】事前研修/避難所運営の共通理解づくり
本訓練に先立ち、青森市職員、避難所運営委員会メンバー、地域住民等を対象に、事前研修を2回実施しました。
研修では、青森市避難所運営マニュアルの内容を確認するとともに、男女共同参画・多様性配慮の視点から、避難所運営において留意すべき点について理解を深めました。また、訓練当日の役割分担や想定、訓練内容について参加者同士で話し合い、「自分たちの避難所を自分たちでつくる」という意識の共有を図りました。
【STEP2】実証訓練/マニュアルに基づく避難所運営の実践
青森市立荒川中学校を会場に、改訂中の避難所運営マニュアルに基づいた実証訓練を実施しました。
発災直後の初動対応から、発災後数日を想定した避難所環境の改善までを段階的に体験し、受付、情報提供、要配慮者対応、衛生管理、食料物資管理などを班別に実践しました。訓練では、市職員と地域住民が協働しながら、マニュアルが現場でどのように機能するか、また改善が必要な点はどこかを確認しました。
【STEP3】ふりかえり/気づきを共有し、課題を可視化
訓練後には、班別および全体でのふりかえりを行いました。
参加者からは、避難者対応の難しさ、要配慮者支援の具体的な課題、情報提供や動線の工夫の必要性など、多くの気づきが共有されました。こうしたふりかえりを通じて、避難所運営における課題を個人の感想にとどめず、改善点として言語化しました。
【STEP4】提言/実践をマニュアル改訂へつなぐ
実証訓練とふりかえりで得られた知見をもとに、青森市に対して、避難所運営マニュアル改訂に向けた提言を行いました。
実際の運営を想定した訓練を通じて明らかになった改善点を反映することで、より実効性の高いマニュアルづくりにつなげることを目指しました。本取組は、訓練を実施して終わりにするのではなく、実践 → 検証 → 改善の循環をつくる取組となりました。
■ 青森市避難所運営マニュアル実証訓練
- 日時:2025年11月23日(日)
- 会場:青森市立荒川中学校 体育館
- 参加者:
- 避難所運営委員会メンバー、地域住民
- 青森市職員
- 女性防災リーダー育成プログラム修了生 ほか(計約40名)
弘前市
官学民による多様性配慮の避難所運営訓練
- 日時:2025年11月16日(日)
- 会場:弘前大学 文教キャンパス 体育館
- 参加者:
- 市民
- 弘前大学生(災害医療・幼児教育等を学ぶ学生)
- 弘前市職員
- 女性防災リーダー育成プログラム修了生 ほか(計約40名)
内容
大学を実際の避難所として想定し、市民・学生・行政・民間団体が協働して訓練を実施しました。
専門分野を学ぶ学生の知見を活かし、乳幼児世帯や要配慮者への配慮、衛生・生活環境の改善などに取り組みました。
八戸市
将来の地域防災の担い手育成訓練
- 日時:2025年11月27日(火)
- 会場:八戸市立大館中学校 体育館
- 参加者:
- 中学生
- 自主防災組織
- 女性防火クラブ
- 八戸市職員
- 女性防災リーダー育成プログラム修了生 ほか
内容
中学生を将来の地域防災の担い手と位置づけ、地域住民と共に避難所運営訓練を実施しました。
講話と班別訓練を通して、多様な人への配慮や協力して行動することの大切さを体験的に学びました。
東北町
将来の地域防災の担い手育成訓練
- 日時:2025年10月29日(水)
- 会場:東北町立東北中学校 体育館
- 参加者:
- 中学生
- 東北町職員
- 東北町社会福祉協議会
- 民生委員、防災士 ほか
内容
東北町・東北中学校・東北町社会福祉協議会が連携し、要配慮者支援を重視した避難所運営訓練を実施しました。
東北町社会福祉協議会による「おたすけボックス」ワークショップの実施や避難所運営マニュアルの策定に関わった町職員による避難所居住スペースづくりなど、地域の実情に即した工夫も取り入れました。
全体を通して
本事業で得られた成果
- 実践を通じて、避難所運営の課題が具体的に可視化された
- 多様性配慮の視点が、避難所全体の安心感と秩序を高めることを実感
- 中学生や学生など、若い世代が主体的に関わる姿が見られた
- 官民連携により、顔の見える関係性が構築されたほか、女性防災リーダー育成プログラム修了生との協働により、青森県東方沖地震における初動対応にもつながった。
- 青森市では、訓練で得られた知見が避難所運営マニュアル改訂への提言につながった
まとめ・今後に向けて
避難所の質の向上は、設備や物資の充実だけで達成されるものではありません。
人が気づき、考え、行動できる力を育て、平時から関係性を積み重ねていくことが不可欠です。
本事業は、そのための実践的なモデルとして、地域に確かな経験値を残す取組となりました。
当法人は今後も、自治体や地域と連携しながら、「誰ひとり取り残さない避難所」を実現するための取組を継続していきます。










